短編集が好きな理由
好きな作家さんだと新作ができたら買うのですが、そうでない作家さんは少し気が引けるもの。あー違った•••と思うと読み始めの期待値からの落胆の差に苦しむことになるからです(笑)なんて、心の狭い人間なんだと思いながらも、私は好きな書き方や展開などがあってその範囲内でいてほしいと願ってしまうのです。
そう、小説では案外冒険しないタイプなのかもしれません。
そのため、初めての作家さんを知る機会に、短編集は非常に踏み込みやすい分野だと感じます。そして、すぐに読めるのでもしあまり好みでなくてもそんなにダメージもなく、書き方など面白いところを探せる、という余裕すら出てきます。そのため、まずは短編集で次読みたいと思う作家さんを探すことは時々していることの一つ!
1日10分のごほうび
さて、今回なんとなく手にとった短編集は「1日10分のごほうび」。
知っている作家さんも何人かいらっしゃるというのが決め手!私は「吉本ばななさん」、「原田マハさん」、「江國香織さん」、「角田光代さん」は読んだことがあります。
実は初めて読みます!というのは「赤川次郎さん」「田丸雅智さん」「中島京子さん」「森浩美さん」。
ラインナップをみただけでもこれは間違いない!と手にとったのですが、結果:間違いなかったです。
それぞれが全然違う書き方で、テイストも違って、時には「もっと続きが読みたい」と思ったり。
印象に残ったお話は、田丸雅智さんの短編。
そんなに年齢も変わらず、そして愛媛県出身ということで私は全く知らなかったのですごく衝撃的でした。
愛媛にこんな面白い小説を書かれる方がいらっしゃったなんて!
ここで紹介されていたのは「海酒」と「綿雲堂」。
全体的にファンタジックなテイストですが、ありそうでなさそうな感じが魅力。
今回は「海酒」にフォーカスして少し紹介します。
「海酒」は海のお酒を扱うバーのお話。海に転がるガラスをお酒につけて熟させる。そこで地元の海であるお酒はあるのだろうか。「三津のお酒はありますか?」と聞くと、懐かしい海の香りが広がるお酒が出てきた。昔の記憶を懐かしむように海酒を飲みに通う。そのお酒がなくなりそうになり・・・・
このお話を読んだ後、故郷についての想いを思いだしました。特に私も愛媛県出身でありこの「三津の海」を知っているからさらに親近感を抱いたのかもしれません。情景が目の前に広がり、あー懐かしいな。海の匂いだな。と読んでいると知った景色が目の前に広がる、そんな作品でとてもジュワっと暖かくなる作品でした。
海酒ができたら一度飲んでみたいな。
好きな作家さんを見つける旅
1日10分のシリーズはとても面白く、選ばれた作品だけあって読み応えもあります。
1日10分のごほうび:江國香織さんの「旅する本」が私の好きな作家さんを探す雰囲気に良く似ている気がしてすごく心地のいい物語でした。
「旅する本」の内容はとても大切にしていた本を古本屋さんで売るところから始まります。そして数年後その本を海外に旅した際の本屋さんで偶然に見つけるのです。
最後のページに書いたかすれかけたイニシャルと花の絵が書かれた、自分が日本の古本屋で売った本を。そこから何度かその本を別の国でも見つけるという不思議なご縁を感じるストーリー。
そう、なんだか懐かしいなとか、あっこの感じ昔に読んだ気がするな。とかそんな気持ちを求めて作家さんをいつも探しています。
でもその「旅」はすごく自然で私にとって当たり前かのような感じ。
そう、海外にあるはずのない自分の本に出会ったときのように、少しの驚きと出会って当たり前と思えるような不思議なご縁のように、私もそのご縁に引き寄せられるようなそんな気持ちでいつも作家さんを見つける旅をずっとしています。
このシリーズはまた読もうと思います♪
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